#葬送のカーネーション
祖父・ムサと孫娘・ハリメが亡くなった祖母の遺体を故郷の土地に埋葬しようと旅する物語。「故郷の土地に埋葬」とはすなわち彼らは難民であるようだ。
ようだ……と書いたのはこの作品の恐ろしいところは何一つ説明台詞が無いというところ。なので、この作品のあらすじを公式HPで予め読んでなかったら、本当の意味で「意味不明」な作品で終わってしまっただろう。
なので見る前の準備段階として、そういったものを参照した方がいいのかも。この作品に出てくる主人公のように当てのない旅をしたいのなら話は別だが(笑)。
一応制作国はトルコで、シリア難民がモデルとなっているようだが、説明を省略しすぎて、ある種抽象的な「とある国」として描かれているかのよう。つまり本作は色々な省略をした結果、観客側が色々と類推する形で……言い方を変えると、何か普遍的な物語を紡いでいる本作を、自分たちで解釈して当てはめていく作品になっている。
荒涼とした自然での無常とも言える死生観。ハリメの亡き母を連想させるような赤いカーネーション(花言葉は「母の愛」)などいくつかの散乱しているキーワードを自分でどれだけ拾い上げれるか?といった作品だった。