ささ

突然にのささのネタバレレビュー・内容・結末

突然に(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

自分自身の体験で、これでいいのかと思っていても、円滑に生活する中で感情を麻痺させている事がある。
それが本作では嗅覚の麻痺として表現されているように感じた。

主人公は海の匂いが好みで、それは過去に好意を抱いていた相手の匂いでもあったと思う。
ダンスの相手や盲目の彼に近ずいても鼻(嗅覚)によって、ここが落とし所ではないと示されてる様に思った。

実家の母親が主人公の部屋の家具にシーツを掛けている。そして、シーツに匂いがつかないように洗濯をする。

主人公が若い頃にフィギュアスケートを楽しんでいた事や、母親の言いつけで生きづらかった事。それが原因で人生の凝りができた事。
その頃には整理がつかずシーツの様に隠していた事と向き合う物語だと思った。

主人公は身体の感覚を研ぎ澄ます事で、自分と向き合っていたと思った。
匂いを嗅ぐのもそうやし、読み聞かせによる自分への問いかけを無意識に行い、目を閉じて聴覚を研ぎ澄まし、踊る事も感覚的に主人公自身の問題を見つめていたと思う。

何よりこの向き合い方がとても理性的で大人な女性という印象を受けた。
社会的自立ができている様にみえて、様々な人とのコミュニケーションも落ち着いてとれていて魅力的だった。

でも、監督と共同脚本の方のお話をきいて、人の歴史では女性が抑圧されてきた方が圧倒的に多いので、女性は感情を抑え、どうしても理性的になるしか無かったのかもと思った。

無言の失踪も女性の立場を象徴しているのかも。
ささ

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