けべん

奇蹟の人/ホセ・アリゴーのけべんのレビュー・感想・評価

奇蹟の人/ホセ・アリゴー(2022年製作の映画)
3.5
これが実話に基づくのか。前代未聞すぎる内容。

医学になんら関係ない男が、心療治療の一貫で天の声が聞けることを活かし、患部にナイフでぶっ刺したり、手を突っ込んで腫瘍をもぎ取りまくった話。エンドロールでは実際の映像もある、マジで作品そのままで怖すぎる。

医学的根拠もなければ、治し方の方針も事前に聞けず、治療中は真剣。彼がなにを考えてやってるかわからないが、ほとんどの人が治ったというのがこの話のすごいところだろう。血も出ず、時には手を加えず。そしてお金は全く貰わなかったというかそれもすごい。
かなり気になったのは、憑依の条件。『少年時代から幻覚や幻聴に悩まされ、結婚後の頃から毎晩のように見知らぬ医師たちが手術をする夢を見続けた末』だそうだが、なにもトリガーなしに医療する場面になったら召喚できるのはすごい。おそらく、夢はかかりやすいかどうか試してて、アリゴーは霊が移りやすい、もしくは移って良い素質だったのだろう。
逆にいうと、医師免許がない奴の根拠ないことを疑いすぎた故、憑依してるときにこれらを聞かなかったのは失敗だっただろう。

作品の観点で言えば、もう少し分かりやすい構成の方が、みんな飲み込めたと思う。憑依した経緯とか、人が頼り始めた流れがさっぱりしすぎたかも。

この話は1950年-1971の話で結構最近。こういうことがあるから、諸外国の小さく離れた村などには呪術師や霊能力者が医師の立ち位置に君臨しているのだろう。『信仰の自由』か。

本体(アリゴー)と憑依元の医師(フリッツ)の性格の違いが少し面白い。アリゴーはおっとり、フリッツは厳格。
※フリッツ医師の説明↓
第一次世界大戦で死亡したドイツ人医師のアドルフ・フリッツ(英語版)(Adolf Fritz)と名乗り、医学上でやり残した仕事の代行をアリゴーに依頼したのだという。

原題『A Dangerous Practice』はかなり秀逸なタイトルと思う。ポルトガル語題は『予定された、アリゴーとDr.フリッツの魂』、なるほど。

#ドキュメンタリー2023 Vol.5
#実話ベース2023 Vol.6 ★