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奇蹟の人/ホセ・アリゴーのいち麦のレビュー・感想・評価

奇蹟の人/ホセ・アリゴー(2022年製作の映画)
4.0
心霊医療といえばジム・キャリー主演「マン・オン・ザ・ムーン」終盤に主人公が施される村医者の如何わしい手技を思い出す。何だか胡散臭さが纏わりつくような物語だなぁと予防線を張っていたら、こちらはブラジルに実在し20年間に200万人以上を治療したとされる心霊手術師・実話ベースのドラマ。彼は私欲の為ではなく神に突き動かされるかのように自ら献身的に心霊医療に没頭し、憔悴さえしていく。患者から費用を受け取らないので健気に寄り添う妻アルレッチが洋裁で家計を支えていた。
彼の施術は科学的検証が強く望まれるが、映画の方は寧ろ彼を罰しようと躍起になる者たちの心理、制度や権威主義の不快さが見どころで、否が応でも考えさせられた。終盤でのアンセルモ神父との会話が胸を打つ。施術の様子を写すご本人のフッテージにも興味を掻き立てられた。
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