まえだ

ファイブ・デビルズのまえだのレビュー・感想・評価

ファイブ・デビルズ(2021年製作の映画)
3.9
嗅覚にまつわる特殊能力を持つ少女が母親の秘密を探るタイムリープもの、というSF的な触れ込みだが、能力が遺伝的なものであるということ以外はほとんど説明されることはないし、結末に明確な答えが提示されることもない。あえてピースを歯抜けにした状態で提供されるパズルのようなシナリオ運びが繰り広げられるが、どこか軋みを抱えた家族の物語は、少女の働きによって一旦の着地を見せる。

なんというか、子どもは誰しもある種の嗅覚のようなものを備えていて、環境を巧みに嗅ぎ分けて拒絶するか受け入れるかどうかを見極める処世術を持っているんじゃないかと思う。
はじめはそうした二者択一に過ぎなかった術が、他者を繋ぎ、人を癒すために使われるようになることが大人への第一歩なのだろうか、となんだか考えさせられる。
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