パンナコッタ

エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版のパンナコッタのレビュー・感想・評価

4.3
面白い!!エドワード・ヤンはこれで五作目。初期の「台北ストーリー」「恐怖分子」なんか目を見張るようなシーンが幾つもあるもののラディカル過ぎて、「?」とならなくはない。もちろん、そうした不親切さが独自のスリルを生みだしているのはいうまでもない。

一方の本作。都会の中で交差する人間関係をこれまでもかという鮮やかな鋭さをもって切り込んでいく前半。凄まじい登場人物の会話の応酬についていくのがやっとだが、各々の悪意、思惑、純真、見栄etcは後半に進むに連れて大胆な結末を迎えている。場合よってはそれは吹き出しそうなほど笑えるし、率直な感動さえ覚える。これだけ、多くの登場人物を動かしながら、説得力を伴いラストにラリーしていく、そんな作品世界を想像できるなんて凄いよなあー。


個人的に印象的なのが、カメラと被写体に距離があり画で魅せるイメージだったが、本作近くね?会話劇だからか。
そうはいっても構図はビシリと決まってる。概ねカメラがわずかに動くか、定点で登場人物が動いている。ラリーとフォンの会話劇ではあの狭い室内をこうして広く見せるのかという空間の広がりさえ感じた。あと、話し手が弾丸で話して固定。聞き手がちょこまか動くの演劇味かんじる。後半オフィスでチチとモーリーが明け方の薄暗い光でシルエットになるのはほんと美しい。。