ぐるぐる

エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版のぐるぐるのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

色々な若者が出てくるけど、全てが緩やかに繋がっていて、まるでドラマのような設定
でもそれをなんとか映画の2時間の中にまとめるために、各場面を黒背景の小タイトル表示画面で繋いでいく
その繋げ方、音声の聞こえてくるタイミング、個人的にはとても心地よいテンポで少しはやいけれどその忙しなさ、会話の多さにがんばってついていくぐらいがちょうどいい
情報量が多く、それぞれの人間像を捉えるのに時間はかかるけど終わる頃には自分の感情移入対象も明確になってくる
友達と観て各々の印象に残った人を聞くのも楽しそう

私はチチかなあ
いつも笑顔で優しいのは上べだけだろう?ということを人に指摘されコンプレックスに思っている
そんな中、恋人からも気になることをグサリと言われる
恋人とも親友とも喧嘩して、ひとりぼっちになるチチ
仕事先で出会った親友の姉の夫である小説家との不思議な時間を経て、また彼女の歩みが始まる
自分とはなんだろうか、という誰にも理解してもらえない問いを持ち続けるが、ミンとのエレベーター内での会話では強さを感じた

チチの恋人ミンもまた印象に残る
モーリーとの一時的な関係に溺れることもなく、ただただ現実を見つめ、モーリーのように逃れようとあがくこともしなかった
そして自分の過ちと向き合い、それでも大切にしたいと人を大切にできる人だ

こうして振り返るとこの映画はチチとミンの物語だ

人にばかり誠実を求めた結果、自分は嘘ばかりだから誰も信じられない
モーリーもまたかなり孤独だ
バーディーもとんだ偽物芸術家野郎だし、アキンは自分で恋を見つけることができた
ミンの言動がモーリーに響く日も来るだろうし、会社を辞めてモーリーもまた歩みを始めるだろう

こうやって書き出すと、まだまだフォンやラリーとか、リーレンとか、、気になる人がたくさんいた
つまりは、いい映画だったということだなあ
また観たい、そのときは友達と観たい