アンソニー

エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版のアンソニーのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

面白かったです。
会話劇でここまでやれるのかと
驚きました。

全編通してほぼ会話をしています。
喧嘩だったり、悩み事だったり、
仕事だったりと色んな会話を通じて
物語が展開します。
小さなすれ違いがきっかけで
こっちに飛び火したり、
あっちが仲良くなったりと
目まぐるしく人間関係が変化していく。
面白いですよね。

恋愛に対する考え方が多様なのも
面白かったです。
愛を見つける人や恋愛から身を引く人
復縁したり利用したり
色んな人がそれぞれ選択して
自分と向き合う。
どれかを推奨もしないし否定もしない。
恋愛って普通はこうだからと決めつけずに
人の数だけ恋愛の在り方も変化する。
30年近くも前の映画ですが
とても今っぽいなぁと思いました。
観る時の環境によっても
感情移入できるキャラも変わって
観る度に味が変化する
いい映画じゃないかなと思います。

ただ会話メイン過ぎるというのと
前半は人間関係や現状把握など
説明するターンが結構あるので
万人にウケるものではないかもしれない。
状況が状況なら普通に寝ちゃいます。
いい意味で平熱的というか
カメラワークも結構引き気味で
全体を捉える事が多かったように感じます。
それが心地良く思う人もいれば
ちょっと退屈に思う人もいると思います。
僕はこの空気感好きでした。

人の温もりを感じることで
現実から一時的に解放され痛みを和らげる。
問題は解決して無いんだけど、
それに向き合う勇気が少し貰える。
そんな風に思えました。