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エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版のISHIPのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

僕はこの頃の台湾のことはよく知らないのだが、日本のバブル期とも同時期であることを考えると台湾も非常に景気が良かったのだろうと見受けられる。登場人物たちは若くして成功を治める者ばかり。けれど彼らはこの先に経営の不安を抱えていたり、新たな作品を生み出せるか悩んでいたり、恋人と喧嘩していたりと、成功の輝かしさの中にいない。彼らなりに、誰かと繋がろうとする。だが、ずっと上手くいかない。この他者との上手く繋がれなさ。バブルが弾け、そして景気は悪くなる一方で、そしてこの現代では、世界規模で争いやクソみたいなことが絶えない。この映画にある華やかな世界にある寂しさを、現代で同様に感じることは難しい。だけれど、繋がりたいのに繋がれないどうにも器用になれないこと、どうにも寂しくなってしまう気持ち。誰も自分の気持ちなんてわかってくれない。これはタイムレスだと思う。
すごくグッとくるセリフが多かったように思うのだが、上手く思い出せん。あの小説家とチチのやり取りとかにもいいやり取りとかあったように思うんだけど…。
あと、クーリンチェとは全く違う作風なんだけど、どのシーンも絵がかっこよくてたまらない。モーリーとチチの1日目の夜と3日目の朝の絵、良すぎだろ。あと夜を上手く映して、どうにも繋がれない寂しさ、とか、今年見た「シャンタルアケルマン/一晩中」を思い出した。もう一度見返したい映画に出逢えた。
ピチカート・ファイヴなんかも聴きたくなりますね。
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