あ

エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版のあのレビュー・感想・評価

2.0
いくら濱口竜介が誉めていようが、ちょっとこれは正直合わないですね...

まず皆が色々なところから喋り散らかすので、情報量が多く、あまり親切な映画ではありませんでした。しかも、喋っている内容が話の本筋から関係ないのならまだしも、割と本筋に寄せた説明的なセリフが多かったため、カメラが言葉を追っているだけに見えてしまいました。恐怖分子の時のように、異様な空間を少しのセリフで見せてしまうエドワード・ヤンはどこへ行ってしまったのでしょうか...?

物質的な豊かさが、かえって人と人の情をかき乱してしまうけど、それでも分かりあおうとする人々の話なのかとは思います。ただ、やはり裕福な人間たちの「孤独」をそのまま見せられても、不景気の時代しか知らない私は、軽薄にしか感じません。

「恐怖分子」のように、地位があって地獄を見たことがない人間が、ほんの些細なことから地獄に落ちるのならば落差があって面白いですが、浮ついた世界のままで「孤独」だの「寂しい」だの言われても、あっそとしか思いません。所詮帰る家がある人間の「孤独」など、現代の本当の「孤独」など体現していないと思います。 

「悲観的な世界が人を癒せるわけがない」というようなセリフがありますが、「楽しいことだけ考える」ことが果たして癒しになるのでしょうか?本当に疲れた人間には「楽しいこと」を考える余裕もないだろうに。
あ