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エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版のtmのレビュー・感想・評価

4.2
とても良かった〜〜

一見トレンディ・ドラマぽい現代群像劇なのに、人生の悲哀が詰まっていてなんとも味わい深い。
台湾の経済成長イケイケ大都会の夜に交差する、迷走まっただ中の若者たちが美しくてまぶしい。
終盤の早朝オフィスの色彩はとくにすばらしかった。。。

モーリーもアキンもミンも喚いて喧嘩して人とぶつかってばかりだけど、大事なことはなにも伝わらないし聞いてないしで、けたたましくて空虚な言葉のコミュニケーションがこれまた素晴らしい。背景はまったくちがうけど、似た状況がでてくるグザヴィエ・ドラン監督の『たかが世界の終わり』を連想した。

登場人物たちは血気盛んというか、理想も欲望もたくさんあるんだろうなと。他人と衝突せずにうまくやっていけばいいのに、全力でもがいていて愛おしい。自分が本当にやりたいこととか譲れないこととか身近な人のだいじさとかをこれから徐々に腹落ちして成熟していくんでしょうか。青臭くていいなあ〜

まったく真逆で、吃音でうまく喋れない主人公がでてくる重松清の小説『きよしこ』のなかで、「それがほんとうに伝えたいことだったら、伝わるよ、きっと」という名台詞を思い出した。

チチとミンのラストも秀逸で、こういうブツっと切れて未来を感じさせるような終わり方が個人的に大好き!総じてよかった〜
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