20年くらい前に近所のTSUTAYAで叩き売られていたレンタル落ちVHSで見て以来だったが、当時と比べものにならないくらい刺さった。自分が歳をとったからなのか、画質が格段に上がったからなのか。映像の解像度と同じくらいの人生の解像度も上がっていて、結果あの頃見ていたときとは比べ物にならないエモーションが流れ込んできて、本当に同じ映画を何を見ていたんだろうかと困惑した。
急速な経済成長と欧米化を遂げた台北で暮らすアッパークラスの10人の若者たちが、惚れた腫れたでグズグズ言ってるだけの二日半。多くがエンタメ業界にいて、ルックと題材はキラキラとしたトレンディドラマのようなのに、みな苦しそうで、幸せでもなさそう。作中でたびたび引用される孔子＝儒教のモラルと近代的な自由恋愛と大量消費に引き裂かれている。登場人物一人一人が弱く、醜く、会えば互いに不満をぶつけ、なじり、また傷つけ合い、しかしそんな彼らが息づく世界はうつくしい。
