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エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版のmasatのレビュー・感想・評価

1.5
“クーリンチェ”と梯子して観たが、やはりトコトン合わないわ、エドワード・ヤン。

かつて、ホウ・シャオシェンと対比するなかなか野心的なドキュメンタリーがあった。その中で、最後の〆としてそれぞれがインタビューに応えていた。
「アジアの歴史、伝統を背負い、後世に遺していきたい」的な至って真面目なホウとは対照的に、ニコヤカに笑いながら「アクション、ラブストーリー、ダイ・ハード・・・何でも撮りたいねー」と答えていたのが印象的だった。彼は一貫して、自身が楽しんだ“ハリウッド的娯楽”を肯定していたという印象が遺っていた。
そう言った点からすると、本作は“スクリューボール・コメディ”なのだろう。冒頭から登場人物たちのノリ、テンションが(不自然なほど)高い。
いや、冒頭でテロップにより定義されていた様に、急成長した都市・台北が主人公である、とすると都市を舞台にした都市型セックス・コメディとなり、(作中にもポートレートが登場した)至ってウディ・アレン的世界観を、自国のアイデンティティに当て嵌め、やってみた、という事なのだろう。

とは言え、“クーリンチェ”と同様に、その整え方、スタイル、入り乱れる登場人物たちの整理と生理が、まったく合わなかった。

ラストカットの大人げなさなど、チャーミングになりつつある瞬間はない訳ではないのだが。
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