足跡

エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版の足跡のレビュー・感想・評価

4.2
急速に経済成長を重ねる台北という背景は、一見いま僕らが生きる経済の低迷に直面しあらゆるものがデジタル化し情報が蔓延りアナログ要素が取り除かれてゆく世界とは掛け離れているように思えるが、社会が急速に変容していく中で自分を見失いがちになるという点においては過去も今も変わらないように思える。だからこそ28年後の今でもこの映画が人々に受け入れられ、現代に生きる僕らにも響くモノが確かにあった。

大学生になってから、この映画に映し出される人たちほどに人間関係から生まれる衝突と別れと再会とを経験するほど深い関係性を持つことが少なくなって、映画や小説などの媒体を通してそれらを客観的な視点から見つめる事が多くなっていたことに気づいた。それは必ずしも不健全なことではなく、今はそういう時間が必要なのだと自分に言い聞かせる。それでも少し寂しいよね
足跡

足跡