マヒロ

リオ・ブラボーのマヒロのレビュー・感想・評価

リオ・ブラボー(1959年製作の映画)
3.0
保安官のチャンス(ジョン・ウェイン)は、ならず者のジョーの殺人の現場を抑え捕えることに成功するが、有力者であるジョーの兄の手により妨害を受け町に足止めを喰らってしまう。連邦保安官がやってくるまでの間、飲んだくれの相棒デュード(ディーン・マーティン)、片足が不自由な口うるさい老人スタンピー(ウォルター・ブレナン)、若き腕利きガンマンのコロラド(リッキー・ネルソン)、流れ者の女賭博師フェザーズ(アンジー・ディキンソン)、そしてバー兼宿屋を経営するメキシコ系夫婦といった面々でジョーの仲間と対峙することになる……というお話。

ハワード・ホークスの有名西部劇で、過去観た記憶はあるんだけど内容は全然覚えていなかったので再鑑賞。
今回初めて知ったが、今作はフレッド・ジンネマンの傑作『真昼の決闘』のアンチテーゼとして生まれたらしく、西部劇のお約束を破り保安官の苦悩を胃がキリキリするような展開と時間感覚で描いたあちらをけしからんと感じたホークス監督により、古き良き西部劇として作られた作品らしい。言われてみれば「町に敵が迫ってくる」というシチュエーションはそのままで、保安官の周りには仲間が沢山いるし、そんな仲間との交流やヒロインとのロマンスをゆったりと描いたりと、色々と裏返しのような作りになっている。

特にスタンピーとデュードの二人がいい味出していて、コワモテながら意外とおどけるチャンスとのやり取りはなかなか面白い。
あるトラウマから酒が手放せなくなっているデュードが次第に自信を取り戻していく様はまさに王道ながらアツいものがあり、彼がもう一人の主人公と言っても良いくらいの存在感がある。

一方で、人死にも出ているような状況なのに、呑気に歌を歌ったりしていて危機感が全くないのが気になるところ。敵側もたまにちょっかい出してくる程度で基本は静観しているし、牢屋に囚われて距離が近いはずのジョーも殆ど画面に現れず存在感が薄いので、町から出られないという圧が無い。ラストの銃撃戦でも敵側は終始小屋に引き篭もって撃ってくるのみで、ダイナマイトを投げまくられて呆気なく投降してくるなどほとんど良いとこなし。
のんびりした雰囲気を崩さないようにあえてショボくしている感じもあるが、正直怠く感じる場面もあったし、要所要所でピリッとくるシーンもほしかったかな。

ホークス好きなジョン・カーペンター監督は『要塞警察』でコロラドがチャンスに銃を投げ渡すシーンをパロディしていたらしいけど、もう一つバーに逃げ込んだ銃撃犯を見つけるために、直前まで外にいたことを示す靴底に泥が着いた者がいないか探す場面は『遊星からの物体X』の血液検査のシーンに影響与えてるのかなとか思った。

(2023.85)
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