年に一度、東京国際映画祭でしかお目にかかれないでお馴染みのフィリピンの怪物作家ラヴ・ディアスの新作。
制作当時の政権に対する怒りが沸点に達し、画面全体から異様な妖気を放つ本作。粒子の荒いザラついた画面の質感がまるでいくら払ってもまとわりついてくる流砂を表しているかのよう。もう白黒の映像美なんて感じさせてなるものか!という意固地な矜持すら感じる(笑)
国家権力や憎悪や暴力の象徴である警察。国民から忌み嫌われる仕事をさせられた彼らの悲哀。元巡査部長が執拗にカソリックの洗礼を執り行い創造主のエホバに救いを求めるがこの物語に出てくる登場人物は悲しいかな誰も救われはしない。ただただ荒々しい潮風を浴びながら朽ちていくだけ。
世の無常をこれでもかと見せつけられ暗澹たる気持ちで席を立たせてしまうラブ・ディアス。決して嫌いにはなれないのよね(笑)
おっさんどもよ。なぜ音楽も鳴ってないのにあんなに永遠に踊れるのよ。しかもクソきもい踊り(笑)タル・ベーラのサタンタンゴのあの伝説のダンスシーンよりも長く感じたわ😂