じぇいらふ

イタリア旅行のじぇいらふのレビュー・感想・評価

イタリア旅行(1953年製作の映画)
3.9
現代アートハウス入門2 ⑦日目

現代アートハウス入門シリーズ最終日は、ロベルト・ロッセリーニの伝説的傑作(らしい😅)です。
観るの3回目になりますが、スクリーンでは初めてです。
ロベルト・ロッセリーニは『無防備都市』以降の作品を立て続けに観た時期があって、どれも大変面白く刺激的で、大好きな映画作家の一人なのですが、、、正直この作品だけは、イマイチよくわからない笑😅、、、でもヌーヴェルヴァーグの作家他著名な人達が傑作❗️と言うので、とてもそういう雰囲気でないというちょっとやっかいな作品でした。

明らかに雰囲気が悪い倦怠期の夫婦、ジョージ・サンダースとイングリッド・バーグマンが、イタリアに旅行に来た中で愛を取り戻す〜という筋だけ言うと、普通にハッピーエンドのメロドラマなのですが、そう簡単な作品ではないです。

今回見直してみて、細部に色々興味深いところはあるものの、やっぱりストーリー展開が他のロッセリーニ作品と比べると、かなりダラダラしていて、すっきり進みません。バーグマンはあちこちどうやら名所巡りしてるわけですが、夫はいないし、すごい愉しんでる感じでもないし、なんでこの観光名所に尺取ってるのかよくわからない展開が続きます。夫は夫で、昔の知り合いに会いにいって勝手に愉しんでいて、妻の夫にたいする執着ほど、夫は妻への執着が感じられず、普通にみたら、ああダメっぽいなこの夫婦という感じです。

観光名所に一人向かう、バーグマンの車運転しながらの夫への悪態独り言や、視線の先にあるイタリアナポリの人々の暮らしから、だんだん妻の思いとかが少しづつ見えてくるのは面白いです。夫にはそういう流れ全然なくて、浮気しようとして思いとどまったくらい笑、まあ男ってそんなもん。

夫が遅く帰ってきて、妻が寝ずに待っててトランプをしてた所、夫にバレないように寝たふりするところとか結構、妻の夫への実は思いが残ってるらしいところは丁寧に描いてます。

ストーリーが動き出すのは、お互い離婚を切り出したところで、むりやり地元の知り合いにポンペイの遺跡の死体発掘につれていかれて、思わず夫婦で観光するところからです。

ラストの群衆の中で、二人車を降りてからの展開はなかなか劇的で、ここは初めて見た時も思わず感動しちゃったのですが、今回見直してみると結構妻の夫への執着が強いのが、それまでに丁寧に描かれてることがわかって、ちゃんと最後に繋がっていることがわかりました、そこはよかったです。ただし、夫は記憶だと謝っていたような気がしましたが、全然そんなことなくて、「もうだまさない?」とか言ってる。こりゃまた、近々同じことになりそう、、、終わり😆
昔と違って自分が既婚者なので見方が大分変わってました。そういう意味では面白くなりました。

アフタートークの三宅監督、映画編集の大川さんのお話は、「観ること」をテーマにこの作品を深掘りしてました。「弱い編集」の話は興味深いです。お二人とも初見はよくわからなかったらしい笑。そういう意味ではこれ初心者向けの作品ではないよね。ネオリアリスモの話が出てましたが、そういう作品でもないし。異色作ですね。
次ロッセリーニやるなら是非『無防備都市』をお願いします❗️