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イタリア旅行のネットのレビュー・感想・評価

イタリア旅行(1953年製作の映画)
3.5
ひたすら作りの粗い映画だと思うんだけど、その良さは間違いなくある。ラストとかどう見たって雑だけど、そこに剥き出しの生が大量にあるというエネルギー、魅力には抗えない。ラストカットの横顔たちが感動的。
バーグマンの佇まいが素敵。大好きな『ロスト・イン・トランスレーション』の源流であることも少し感じる。大好きな彫刻映画でもある。
俳優の目が泳ぎまくる映画。必然的に無駄な動きが演出される。意味もなくトランプをシャッフルしたり、車を運転してても街の色んなところに目がいく。車でひたすら生なき身体としての彫刻と人無き土地を巡り続ける(文字通りのsightseeing)バーグマンと、生者と交流し続けるサンダース。二人は共に生者の生々しさが記録された土地を経て、生のエネルギーが暴力的に満ちている祭りにたどり着く。ここまでが旅行だし、なんなら旅行というより原題のViaggio(Voyage)、道のりという方が正しいんだろう。
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