これにてバーグマンとのスキャンダルに終止符を打つロッセリーニはしかし、とめどない抽象性に向かっているかのよう。
路上性を失わずに抽象へと向かうこと、それは体験することであり、絶えず映画の外側にあるものの闖入を拒まないことである。
しかし、バーグマンに対して嫉妬心を露わにした部屋での会話のスクリーンを横切ったと思えばまた現れるような2人の曖昧な動線が、この映画の主題そのものであった。
あの鏡に映った男は、タバコを二度吸った。それは鏡に映った後に切り替えされた故の単なるダブルアクションであるのか、映画であることのどうしようもない抵抗なのだろうか。