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イタリア旅行のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

イタリア旅行(1953年製作の映画)
3.7
ロッセリーニが妻イングリッド・バーグマンを主役におき、不和となったイギリス人夫婦がイタリア旅行を通して再び結びつくまでの数日を生々しく描いている。ネオ・レアリズモの監督だけあって、重要なシーンの台本はその場で渡され、演技というより、バーグマンの素の感情にみえた。気持ちの変化を一緒に追っていくので目が離せなかった。これは台詞少ないバーグマンの演技を味わう作品。

ヌーヴェルヴァーグに多大な影響を与えた作品と言われている。

不仲といいつつ、それまでの経緯が語られず、二人の数日を切り取っただけなのに、別々に行動しているのに、二人の心の動きが手に取るようにわかる。

妻は結婚前の恋人が書いた詩の舞台がナポリだったこともあり、カタコンベ、ポンペイの発掘等、魂の脱け殻をみつけ、心が揺さぶられていく。

セリフは少ないのに、バーグマンの表情がサスペンスタッチで惹き付けられた。

1950年にハリウッドからイタリアへ押し掛けたバーグマンは夫と子供を残して不倫から結婚、1957年に破局。そのちょうど真ん中の1954年の作品。

劇中では破局に至らない結末に妙にがっかりした。どうみても夫の方は終わりだったのに。

イタリアの土着の文化に嫌悪感を示している妻が不安になり、夫を必要とするのはいささか安易にみえたが、ロッセリーニのバーグマンへの思いなんだろう。

夫役のジョージ・サンダース、嫌みをいう冷たい役で、よく出会う。

ロッセリーニ&バーグマンの「ストロンボリ」観なければ。
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