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アイアム・ア・コメディアンのregencyのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ABCお笑い新人グランプリ最優秀新人賞やTHE MANZAI2013優勝など、さまざまな漫才レースで栄誉を勝ち取ってきたウーマンラッシュアワー。しかし近年、彼らの姿をメディアで観る機会は激減した。というよりも主にボケ担当の村本大輔だが、なぜ彼は姿を“消えざる”を得なかったのか、そんな彼の現状の活動に密着。“消えた”のではなく“消えざる”というのがポイントだ。
波風立てるのを避けるべく「臭い物(者)には蓋をしろ」視点が働くのは、スポンサーあっての放送メディアゆえの宿命。しかし、スポンサーが影響しない公共放送ですら彼を避けてしまう。小生も一応メディア側の人間ゆえに痛し痒しに感じる面もある。
観ていて興味深かったのはウーマンのネタ合わせ…というか、ほとんど相方の中川パラダイスがタイムキーパーとなって村本の放言をカウントしているが、中川の存在は不要なようで実は不要でなかった。
「悲劇は喜劇にもなり得る」――チャップリンも語っていたこの言葉を村本も語る。震災やコロナ禍、政治不信だけでなく自身に起こった悲劇をもネタにする彼が、どことなく『JOKER』のアーサー=ジョーカーとダブるのは偶然ではない。『JOKER』といえば階段のシーンが印象的だが、本作にもそれを思わせるショットがある。もちろん村本がアーサーのように世間に暴力と犯罪のカオスをもたらす人間だと言っているのではない。でも笑いのカオスは起こしている。
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