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理想郷のseapointのレビュー・感想・評価

理想郷(2022年製作の映画)
2.8
隣人トラブル。どの国でもあるね。北欧の「隣の影」もそう。ただしこちらは隣人云々というより風力発電補償金問題である。そして主人公夫婦はここの者ではなく、異邦人ゆえよりマイナスになってしまった。アントワーヌ、一見無愛想に見えるが直販でのお客に対して、TV電話で孫に対して優しい。しかし隣人兄弟の陰険な嫌がらせにはさすがにね。生活の糧になる丹精こめた野菜への仕打ちは悪徳。

過疎化になりつつある。まるで忘れられそうな土地の者の言い分も分からないでもない。何とか暮らし風力発電を誘致して自身が生きている間幸福ならと。自分に次世代の子供もいないし、その先をなぜ考えられる?そして彼らには帰る所がない。ここしかない。

アントワーヌたちは万一あっても救命ポケットがある。どんなに語学が堪能になろうが、生活が馴染もうが風力発電受け入れ反対の彼らは到底受け入れがたい。
海外企業からの甘い言葉。彼らもまた無責任の利益だけの話。どこも同じだわ。原発だってそう。周囲に病院や教育施設や夕飯の支給など充てがわれるが、事故があったら?今だって昔のように戻れない。恩恵は受けるが、損害は被らないのは無理。恩恵を受けるなら損害も被る、そういうことだ。

世の中良いことの裏には何かある。あの兄弟はやり過ぎたが、田舎の警察は怠慢だな。妻の功労ですぐ見つかるなんて。夫は成仏するのだろうか。アントワーヌはこんな形で終わらせたくなかっただろうし、それにしてもこの後妻はそれでもこの土地で生活するのだろうか。

現実、都会から田舎へ移り住む人もいるが、戻る人も結構いるんだよね。田舎ほど公ではないルールもたくさんあったりして、移住者インタビューは恐ろしいほど良いことしか言わない人ばっかり。怖い。
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