"ここは、私の故郷だ…"
"俺はこの村に52年、弟は45年生きてきた…お前はまだ2年だろ…"
それは小さな嫌がらせ…スローライフを夢見てフランスからスペイン・ガリシアの小さな村に移住してきたアントワーヌと妻のオルガ…科学的農業を駆使し野菜を育て、静かな第二の人生を楽しむはずだった…古びた古民家をリフォームし、更に移住者を増やし、寂れた村を甦えらせようと密かな野望を抱くアントワーヌ…だがそんなアントワーヌの事を面白くないシャンとロレンゾの兄弟から露骨な嫌がらせが続く…やがて風力発電所建設問題で両者の対立は深刻な状態に…
オープニングは、素手で野生の馬を捕まえ、印をつけ、再び野に放つ男達の姿が…これが後々の展開への大きな伏線となっているかのようで…
偏屈な田舎者と都会のセンスをそのまま持ち込んで来た元都会人との度を越したご近所トラブルではありますが、私の感想を率直に言わせて貰えば…"どっちもどっち"…
トラブルの当事者が自分の考えに取り憑かれ、他者を全く受け入れない事で起こる悲劇は、偶然ではなく、必然な結末を迎えるのです…
アントワーヌ視点の前半から、妻オルガの視点に変わる後半から俄然ストーリーの奥深さが光ります。
アントワーヌの視点だけであったら、単純な田舎ホラー的な話が、後半から実に見事な深みを魅せていきます。
原題より、邦題の方が本作の意図を捉えているような気がします…
…果たして、馬に印を付けたのは誰なのか…
