"理想郷”を巡り不幸に陥る矛盾。
異なる双方の立場や境遇から深まる対立。
田舎を舞台に繰り広げるダークスリラー。
スペイン山岳地帯の小さな村。村に暮らす移民のフランス人夫婦アントワーヌ&オルガ。農作で生計を立てる時給自足、優雅で自敵な“理想”の生活。そんな折、村の風力発電建設について問われる地域開発についての是非。建設に賛同して保証金手当を欲する多数派の村人たち。村の景観を遵守する反対派の異邦定住者との対立。次第にエスカレートする夫婦への他傷行為。そして山奥で起こる悲劇。夫の捜索、娘の心配を他所に農作を続けるオルガの奮闘。引導を突きつけ“理想”と抗い続ける強い意志。
田舎の村を舞台に対立する村人vs村人の構図。設定された異邦人との共同生活をテーマに展開する狂気のスリラー。アントワーヌが“ニーブラ”で仕留められる野生的な暴力描写が無残で恐ろしい。人里離れた小さな村で希望が潰える儚さ。また、土地開発によって淘汰される自然や理想を追及する人間の争いは他人事ではない畏怖を感じた。作品では羊が唯一の癒しだった。🐏
