あるスペインの田舎町にフランス人夫婦が引っ越してくる。移住してきた夫婦を快く思わない隣人二人は嫌がらせをするが、その嫌がらせは日に日にエスカレートし始めて......というお話
大傑作！
落ち着いた空気感と村の風景の描写が徐々に恐怖と閉塞感に変わっていく恐ろしさが素晴らしい。日本のホラーにもありがちな田舎ホラー物だが、現代的な視点とアイテムとしてビデオカメラを用いることによって、決して分かり合えない人間的な怖さを引き立たせていて面白い。それに加えて映像も素晴らしく、基本的に長回しで人物を追いかけながら風景を捉えるショットで構成されているものの、途中途中ハッとするような長回しが来るから最高。特に中盤のあの場面は長回しで人物が絡み合う運動を描きながらも、映像の構図も見せたい演出も全てが決まっていて凄かった...
物語の殆どはジメジメとした恐怖で占められており「いつ何されるか/襲われるかわからない」緊張感が絶妙に張り詰められていて普通にスリラー映画として良いのだが、同時に田舎ホラーのアンサーを導き出す構成になっているのも見事。夫と妻の二人の視点を用いることによってそのアンサーがより明確なものとなっている。そして夫と妻の間に挟まるのがビデオカメラであり、ビデオカメラの役割が移り変わる瞬間は感慨深いものがあってとても良い。
海外ビジュアルから漂う厭さが気になって見たが、まさに海外ビジュアルの厭さがこの映画の内容を象徴しているように思えた。恐怖感を煽る長回し映像の演出も最高で面白かった！
