実話ベースかあ……と暗澹たる気持ちになる一本。
理想の田舎暮らしを実現するためにやってきたフランス人夫婦。
しっかりお金を貯めて、都会から意欲を持ってやってきて、野菜を育て始める。
けれどその土地で暮らす人々は、ずっとこの地に引きこもっているような暮らしをしていて、金も稼げないし異性との出会いもない。都会から来たいけすかないフランス人夫婦なんか気にいる訳がない上、大金を得られる機会を潰そうというのだから黙っていられるはずもなく。
そんなギスギス移住暮らしが前半で描かれ、後半は違う角度から光を当てて、という感じ。
人間、男女に関わらず平等なのは命があることくらいで、与えられる運命、人生をどう辿るのかでめちゃくちゃ差がつくんだよな……みたいな気分に。
感情は思いの外簡単に正義を超えて行くし、知性は暴力に勝てる唯一のものでもある。
長い目で未来をも見つめるか、今目の前にある現実を重んじるか。
どっちが絶対の正解でもないから、人間の世は難しい。
それでも、人が持つ理性だとから優しさを信じたい。
最終的にこんな気持ちになったので、良い映画なのだと思う。
