Mackey

秋日和 ニューデジタルリマスターのMackeyのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

現状円満な母娘の家庭が周囲の余計なお世話からそれぞれの結婚へ追い立てられる話。

周囲の具体的なおせっかいだけでなく、義理の親がいる家庭のストレスや結婚を機に希薄になる友人関係の話などあることで、社会全体に母娘を結婚へ追い立てる雰囲気があることを感じさせる。

亡くなった夫の旧友3人組は余計なお世話をしたり下卑た会話をしたり、下心があったりとくだらない男達として描かれている。結局アヤ子は杉山(アヤ子の同僚)を通して後藤と知り合ってるので結婚にもそんなに役に立ってない上に、あれだけ母娘の関係に水差しといて最後は「面白かった」で済ませてるし。

その分、百合子が三人に詰め寄る場面は痛快だったのだけど結局彼女も秋子と平山を引き合わせることに賛同しているので、そこは当時の価値観なのかなと思った。小津作品見てると当時の結婚が経済的安定と良好な家族関係のためにほぼ必要不可欠な制度だったことがわかりやすく伝わってくる。(今でもそういう側面はあるけども)
なので、最終的に秋子が結婚しないことを自ら決める流れに胸打たれる。家族が離れ離れになっても思い出は記憶の中で生き続けるとのこと。

『晩春』を母娘の設定に置き換えられているらしいけど、『晩春』ほどの親子愛の過剰さは感られず、母娘の一般的な家族愛として見れる。娘と結婚相手の良好な関係や娘の恋愛自体に興味のある描写の有無がその差の原因の一つになってそう。(演技や撮り方の差もかなりあると思うけど)
終わり方も同じだけどこちらの方が前向きな印象。

娘の結婚前に親子で旅行に行って寝室で話したり、結婚した後で別の人物が親のそばにいたりと『麦秋』とそのまんまのところもあった。
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