未見だがジャケが印象的な「マジカルガール」の監督の新作。
アルモドバルとは少し違うけど、人間が持つ歪んだ欲望と歪んだ愛が描かれたミステリアスなドラマ。無駄なものを排除した淡々とした展開と見せすぎない演出が想像力を掻き立て、ジワゾワとくる。性嗜好というタブーな題材。驚愕の後半の展開はなかなか引き込まれた。この物語に少なからず共感してしまうのは、誰しもが少なからず危ない一面を持っているからか。
監督は日本オタクらしく、ジャパンカルチャーの小ネタがちょこちょこと登場して面白かった。
以下、ネタバレ。
自分を律しようとしても、欲望から抜け出せない人間の本質的な部分を描いていると捉えられるが、そもそも好意を寄せ始めた女性が愛した少年に似ているという危うさに気付く。マンティコア(怪物)として描かれた自身の絵を見て、我に返るシーンもなかなか。
また、その女性自身も誰かを介護することに欲望を感じているというミステリアスなラストに驚かされた。
男女が歪んだ形でフィットしていく流れが、アルモドバルの「トークトゥハー」を思い出させる。たまたまスペインの監督同士ではあるが、少なからず影響を感じずにはいられない。
