渉

マンティコア 怪物の渉のレビュー・感想・評価

マンティコア 怪物(2022年製作の映画)
4.1
カルロス・ベルムト監督がまたえげつないモンを産み落としてきた。ジャパンカルチャー大好きアピールも健在で、常に因果のつきまとう不穏なストーリテリングもさらに研ぎ澄まされつつある。個人の嗜好やそこから発展する行為に対しての是非を議論してみたところで、内面にある葛藤や社会や世間が持つ眼差しは否応なく日常に干渉するし、地球は回り続ける。三幕目で主人公が吐露する数少ない本音については考えさせられる、考えさせられるけれども、その時点で既に結末へのあまりに残酷な導線ができあがってしまっているどうしようもなさ。『マジカル・ガール』を想起させる構成ではあるが切れ味はより鋭くなっている。そして二幕でメインになるゾーイ・ステインがどえらいチャーミングさで不穏な中で交わされるラブシーンも非常に良かった。
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