コマミー

ストールンプリンセス キーウの王女とルスランのコマミーのレビュー・感想・評価

3.5
【真実の愛と何にでもなれる為の勇気】




本作は"ある目的"の為に鑑賞した。

それは"ウクライナへの寄付"だ。本作の収益の一部はウクライナへの基金に回されるとの事なので、「ウクライナを応援したい」とのアクションを映画を観ることによって可能にできるのである。それに本作を配給した"Elles Films"の応援も込めて鑑賞をした。
代表:粉川さんが全財産を注ぎ込み、クラウドファンディングの力も加わって本作の配給権を手に入れ、公開された"ウクライナのアニメーション"を是非、ウクライナの力になりたいのなら観に行ってほしい。

全体的な感想としては、それほど悪いものではない。
まず、"アニメーションのクオリティー"が何気に高い。戦時下にも関わらず、このクオリティーを出せるのは素直に凄いし、多少の余計な動きもあるかもしれないが、それでも遜色なく観ることが出来た。
本作はロシアの詩人:"アレクサンドル・プーシキン"原作の童話を元に作られ、そのルーツとなったのは"キエフ公国の神話"である。ウクライナ侵攻開戦後は、残念ながらウクライナにあるプーシキンの記念碑などは撤去されてしまった為、ウクライナの人々がこれを見てどう思うかは分からないが、私達にとってはウクライナの事を"もっと知ること"ができるものとなっており、本作の公開は実に良い機会だったと素直に思いたい。
物語としては「アラジン」、アニメーションクオリティーとしては「シュレック」などドリーム・ワークスの初期3Dアニメーションを彷彿とさせていた。"ミラ王女"のルックスは「アナ雪」を連想させたかもしれない。

"ルスラン"はアラジン、ミラ王女はジャスミンを彷彿とさせるキャラクターでどちらも"なりたい自分"になろうとしている所がとても良かった。ウクライナの人々が制限された生活をする中で、本作のこのメッセージ性はとても心強いものになってるのではないか?
ミラ王女を救うために向かうルスランに手を貸した"化け猫"の存在もとても良かった。最初はコイツも悪役なのかな?と感じていたのだが、「くるみ割り人形」の曲に乗せて追ってくる騎士達を足止めしている所を見ると、怪しいが優しそうで安心した。ここでもロシアの芸術が使われているのだが、本作では対立する形ではなく、"助け合う形"で使われているのである。

このように、物語の各所に"ウクライナとロシアの共存"を夢見たり祈ったりするような要素がある。ウクライナやロシアの要素は限りなくない作品なのだが、このようにウクライナとロシア共通の文化を"さりげなく取り入れる事"によって、製作者なりに平和を祈っている事が分かった。

現実世界でも、ウクライナとロシアが助け合える日が来る日を強く願っています。

ウクライナへのアクションを起こしたい方も、勿論子供連れの方も見る事をお勧めします。
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