ノラネコの呑んで観るシネマ

こんにちは、母さんのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

こんにちは、母さん(2023年製作の映画)
4.1
向島で足袋屋を営む吉永小百合の老らくの恋と、息子の大泉洋のミドルエイジクライシス。
二人の間で潤滑油の役割を果たすのが、孫の永野芽郁という構図。
もうこれは、言わんとすることはどストレートで、人間何歳になっても変われるし、成長出来る。
まあ92歳で現役の山田洋次から見たら、70代の吉永小百合だって若いし、40代の大泉洋は孫みたいなものだろう。
老人が恋愛してもいいし、大企業の管理職として組織にガッツリ組み込まれてるとしても、あえてドロップアウトしても構わない。
吉永小百合は友達とホームレス支援の活動をしているのだけど、どんな立場の人にもそこに至る歴史があり、生き方は尊重すべきという、達観したスタンスもいい。
山田洋次の映画は、商店でも家でも基本的に生活空間の設計がどれもほぼ一緒。
だからだろうか、大泉洋のキャラクターは「もしも寅さんがリーマンだったら」と思わせるところもあり、フィルモグラフィーを知るからこそ味わい深い。
たぶんこれは若い頃に観ても、ピンと来なかったかも。
ある程度の年齢になって、良さが分かる映画じゃないかな。
吉永小百合を妙に若作りさせず、歳相応のリアリティを持たせて撮ってるってるのも貴重。
逆に永野芽郁みたいに若い娘は、ちょっと理想化されてると感じなくもないけど。