あぶりかんぱち

こんにちは、母さんのあぶりかんぱちのネタバレレビュー・内容・結末

こんにちは、母さん(2023年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

やっぱり山田洋次の邦画が肌に合うなぁと感じた1本でした。家庭のいざこざ、職場でのストレス、大切な人との突然の別れ、損でしかない自己犠牲。どれも大きな悩みとなり得るくらいの問題なのだけど、「人間はそこから立ち直るタフさを持っている」、「みんな大変な中で折り合いをつけながら生きてるんだ」という生き様、ひいてはその姿から『頑張れ!』というエールのようなものを感じずにはいられませんでした。

それこそ作品の幕引きは万事順調、完全なハッピーエンドではないけど、『まあ生きてりゃいいじゃないか!』というスタンス、邦画感があって好きです。
最たる例は失恋から酒で立ち直ろうとする吉永小百合。いかにも人間臭くて素敵だなって思います。んで、息子が一緒に住むってなるとパッと明るい表情になる。
結局母親だって1人の人間じゃないか、と。
そういうことなんです。きっと。
それで、辛いときに「俺の辛い話を聞いてくれよ?」と言い合って打ち解けられるのが本当の信頼関係なんだろうな。


以下、余談

頻繁に東京スカイツリーのカットが入るけど、下町から見たスカイツリーという構図は「東京の街は変わっても、昔と変わらない日常だってある」っていう監督なりの東京の見せ方な気がして、結構好きだったり。これから先、東京にもし住むことがあるならそんな所に住みたい。

終わりかけ、冒頭の同窓会を屋形船でやるって話はどこに行ってしまったんだ?と、野暮なことを思ったけど、あの花火の余韻のまま、作中の世界がまたゆっくりと続いていくんだって思えばいいのかもなって思えた。

ホームレスのおじさんが俺の天使なのかもなぁ…という神父さんの呟き。去り際車からおじさんにかける「誰よりも長生きしろよー!」という言葉。この辺りがこの映画の裏テーマな気がする。もし次回作があるならこの辺の話が効いてきそう。

結論

次回作、待ってます!
あぶりかんぱち

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