ノラネコの呑んで観るシネマ

春に散るのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

春に散る(2023年製作の映画)
4.6
ボクシング映画にハズレ無しの法則発動。
かつてアメリカに渡りボクサーとして挫折し、ビジネスで成功した佐藤浩市が40年ぶりに帰国。
ギラギラとした目をした横浜流星と出会い、彼の情熱に押し切られる形で、ボクシングの夢に再挑戦することを決める。
佐藤浩市の昔のジム仲間の片岡鶴太郎がいい。
まるで仙人のような風貌で、登場時はくたびれ切っているのが、トレーニングシーンになると途端に輝き出す。
そう言えばこの人、実際にプロライセンス持ってるんだった。
横浜流星と対戦相手の窪田正孝も、見事にボクサーの体を作ってる。
毎度のことながら、こういう肉体の説得力を見せられると役者ってすげーなと思う。
クライマックスのタイトル戦も、ボリュームたっぷり。
原作未読なので、どっちが勝つのか分からず手に汗握った。
若者の挑戦と成長の物語である一方、燃え尽きられる終の居場所を探す老人たちの話でもあり、観客の年齢によって誰に感情移入するかは変わるだろう。
若干のダイジェスト感はあるものの、瀬々敬久監督はドラマチックに群像劇を見せ切った。
橋本環奈が珍しく等身大のしっとりした役。
芝居出来る人だから、もっとこう言う系統にも出たらいいのに。
ブログ記事: 
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