よとり

春に散るのよとりのネタバレレビュー・内容・結末

春に散る(2023年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

話の展開や流れ的には結末がすぐに予想できるような淡々としたストーリー展開なのでストーリー自体の抑揚や面白みは全くありません。

この映画の何よりすごいのは横浜流星さんの圧倒的な体現力に尽きると思います。

これだけの体作りをしてくれる俳優さんだから
瀬々監督も起用したのだと思いますが
横浜流星さんて、素人目から見ていても、
周りを緊張させるほどの役のストイックな入り込みがかなりすごそうな俳優さんで、

正直、ここまで入り込まれるというか体現をされると、他の共演者や俳優さん達はかなりやりにくかったんじゃないかなぁと映画を見ながらずっと感じていました。

今後大河も出るようだし、こういう周りに常にピリピリ感を与えて緊張させそうな人が座長だと、撮影大変そうだなとか考えたりしながら視聴しました。
個人的な主観ですが、横浜流星さんは、主役よりも、3番手4番手ぐらいのキャラクター位置にいる作品の方が非常に光っていると思います。

俳優さんは、結局のところ、実際その経験を体験してはいないという中で演技をすることが多いと思いますが、
その中で、そう見られないように、そう思われないように、本物の格闘家達から偽物だと思われないように、などなど、可能な限りリアルにするためにといったところで、C級ライセンスを取ったのは凄いと思いますが、

それはあくまでも俳優さん自身の自己満足であり、自分が"本物の演技をしているんだ"というアピールですよね。

正直、いち素人の視聴者の私からすると、
そこの視聴者には見えない追求よりも、病室のあのようなシーンでの表現力を横浜流星さんはもっと磨いたほうがいいんじゃないかなと思いました。

横浜流星さんは、DCUやシロクロ、その他色々な映画などを見たときにも感じましたが、

横浜流星さんの様々なドラマや映画を見ていつも思う事は、静かに泣く、雄叫ぶ、といったようなゼロヒャクの演技などは非常に素晴らしいと思いますが、

この春に散るの中にもある、病室で「俺の親父になってよ」と言うような、訴えかけながら、感情目一杯に泣かなければいけないような演出やシーンの時は、横浜流星さんはものすごく見ているこっちが恥ずかしくなる位へたくそな気がします。

この部分だけ上手くなれば非常に素晴らしいのになぁと、いつもこういう横浜流星さんの演技表現に遭遇するたびに残念に思います。

横浜さんの様々なインタビューなども拝見しながら
もともとの感受性がかなり低い方だという発言を度々目にしたこのがありますが、

感受性が低い方だと、特にこのような演出のシーンは表現が非常に難しいだろうなぁと、素人から見ても感じます。

横浜さんは、叫んだり、黙って静かに泣いたりといった感受性を殺すか叫び散らかすかのゼロヒャク演技のどちらかは表現が上手だと思いますが、中間にある感受性豊かに目一杯感情を訴えかけるように表現する演技表現の時は、まるでデビューしたてのはじめての演技をしている人に見えます。


ただ、この作品はあくまでボクシングシーンがメインだとするなら、この映画の中の、横浜流星さんに異を唱える人は、ただの1人もいないんじゃないかなと思うほどの、圧倒的なドキュメンタリーのような魂を削って挑んでいるような素晴らしい演技でした。

ですが、例えて言うなら、このシーンを全編通して、菅田将暉さんや北村匠海さんが演じたら、もっと良い意味で全然違うものになっただろうなぁという感じがしました。

後は、相川翔さんいる?とずっと見ながら思っていました。
相川翔さんのあの憎たらしい演技がずっと不快でしたし、相川翔さんのキャラクター自体が作品内に全くいらないよなと感じました。
ただ、不快な演技を視聴者がそのまま不快に感じるということは、それだけ哀川翔さんの憎たらしい演技が上手だという意味でもありますが。


ラストのボクシングシーンについてはただ一言、圧巻でした!

この映画は映画館で通算7回ほど見ましたが、何度見ても、ラストの12ラウンドの試合シーンは毎回手に汗握り、本物の試合を見ているのと同じ感覚で、

結末がわかっているにもかかわらず、毎回必ずリアルなボクシングの試合を見ているような感覚になり、エンドロールでAIさんのLife Goes Onが流れるたびに、心身ともに何かが浄化されたような全てが満たされたような、非常に不思議な感覚になる素敵な映画でした。

この映画は、本物の試合を見るような、
または本物の1人のボクサーが世界チャンピオンになるまでのドキュメンタリー映画だと思ってみる方が絶対に見る心持ちとして正しいと思います。


横浜流星さんて、はじこいと着飾るの再放送がある度にファンが増えてるイメージですが
逆を言うと、他にも沢山横浜さんの作品は世に出ているのに、結局この2つからしか今だにファンが増えることはなく、実際の本人はインスタをしたらモラ男だと炎上する位キャラが違うとネットニュースでお見かけしましたが、

私自身もファンに対するネットでの対応を見てかなりの塩対応だと感じましたし、
総じてこのような愚行や発言を許容する一定数の年配の女性ファンしか残っていないイメージがありますが、

横浜流星さんはもう女性ファン獲得は諦めてふわふわとしたラブロマンス作品より、このような圧倒的に熱量のある男くさい映画にどんどん出て欲しいなと心底思いました!

本物の俳優を目指してはじこいの後にキラキラ路線を外れたというインタビュー記事を過去に見ましたが、
それなら、バランスが大事とか言ってないで
岡田さんのようにこういう男くさい作品にもっと出るべきかなと思いました。
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