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泥棒番付のmitakosamaのレビュー・感想・評価

泥棒番付(1966年製作の映画)
3.3
スカパーにて。勝新主演で、司馬遼太郎原作の幕末ものという変わり種。
しかも新撰組が暗躍する京での泥棒の活躍という、また変わったお話。

冒頭が池田屋騒動。障子に血飛沫が舞う池田屋を遠景から映し、手前に盗みを働く大泥棒の佐渡八(勝)から始まる。絵面の格好良さよ。

そうしたら内田朝雄演じる与力に捕まっちゃう。町奉行所のイメージって江戸時代のイメージの方が強くて、幕末に馴染みが無いからちょっと戸惑ったわ。しかも場所が大阪だからね。(よく考えたらこの時代も奉行所があって当たり前なんだけど)

で大泥棒の佐渡八だが、更に上手の与力田中に看破され言う事をきかされる。田中の只者じゃない雰囲気が堪らんが、佐渡八の大物感が薄れたな。

で、泥棒の清七とお慶の身請け人になり京都でうどん屋を始める。そこで新撰組と因縁が出来る。

与力田中を含め、清七やお慶が実は倒幕派だったという意外な展開なのだが、このあたりからテンポがイマイチ悪い。佐渡八がお慶に恋愛感情を持つ云々がまどろっこしい。
正直言って物語が止まるし、何より大泥棒の筈の佐渡八のスケールの大きさが感じられない。佐渡八の泥棒の実力が判らないのがとにかくモヤモヤするんだよな。

新撰組の屯所に盗み入り因縁の相手も倒すが、他の隊士との戦いもなんだかよう判らん。口から針を吹き飛ばす謎技を繰り広げ、油を床に撒いてツルツル滑らせるコントみたいな戦術。しかも自分も素っ転ぶんだよ。何だコレ?

最後は勤皇派も倒幕派も泥棒だと言い放ち、鼠小僧の様に小判をバラ撒いて自分が泥棒番付のトップの様に宣言するが…
最後まで佐渡八の “大” 泥棒感は発揮されなかった感じかなぁ。
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