やむちゃ

アニタ:ディレクターズカットのやむちゃのレビュー・感想・評価

4.7
備忘録

香港の歌手アニタ・ムイ(梅艷芳)の生涯を描いた、大変素晴らしい作品。
「劇場版」は、2022.3.20に大阪アジアン映画祭で鑑賞済み(ABCホール)。
その後、ディズニープラスでの配信を待って(このために加入した)、こちらのドラマ版(ディレクターズカット版)を観たが、映画版で説明不足だった部分が補完できるシーンが多く追加されている。その半面テンポは若干悪くなっている。
少し駆け足気味ではあるがテンポの良い映画版か、細かなエピソードを丁寧に描いているがテンポが悪いドラマ版か悩むところではあるが、個人的には映画版の方が観やすかったかな。

実在の人物の半生を描いた作品としては、音楽を扱っていることも含め、「ボヘミアン・ラプソディ」に並ぶと思う。
ラストが近づくにつれ、涙を堪えるのに苦労した。
香港好き、香港映画好きなのでなおさらだが、それを別にしても、良い作品だと思う。
当時の空気感なども大変良く再現されており、もう戻ることが出来ない返還前の輝いていた香港がスクリーンの中に現れる。
香港映画らしからぬ、役者さん達のおさえ気味の演技も素晴らしい。
実在の人物の単なるものまねではなく、しっかり人間性まで掘り下げて演じている。
コンサートのシーンなどは、実際の映像と新たに撮影した映像を織り交ぜて映し出されるが、アニタ・ムイ本人と、アニタ役のルイーズ・ウォンの姿に驚くほど違和感がない。

事実かどうかはわからないが、近藤真彦との恋愛エピソードで、東京のマッチの自宅で苦労して料理するシーンは、微笑ましすぎて涙が出そうになった。

劇場公開して多くの人に観てもらいたかったが叶わず残念。
せめて配信で観てもらえればと思う。

※この映画を思い出すと、Gメン75のエンディングテーマ曲「面影」が無性に歌いたくなる。
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