印象派やマティスの絵画を思わせるような多層的な色彩でコーディネートされた画面が続き、非常に美しかった。
特に壁の色が印象的で、青緑がかったずっしりした土壁に窓から光が差し込み、真珠の貝殻のように複雑に煌めいている。
当然電気のない時代なので、光源は日光と小さなロウソクしかなく、全体的に影が濃い。
そのせいか埃っぽい雰囲気もある。
背景美術は美しくも、陰鬱とした閉塞感がよく表されていた。
画面のつくり自体がただでさえ不穏なのに、そこに無機質な音楽が重ねられ、観客の焦燥感を煽る。
また、この作品自体メタ視点で語り始められ、第四の壁を破る語りかけもあり、映像だけでなく構造の方も奇妙でハッとさせられる。
少女が信仰によって身体の自由を奪われているのに対し、同じく信仰を利用することで救済することを試みる、というストーリーも興味深かった。
