面白かった。"現代にも通じる"話であることを完全に言い切る演出も潔い。
誰が何を求めどう埋めようとするのか、誰が何を守ろうとし、何を犠牲にしようとするのか。それぞれがとても明らかに理解できるようになっているが、最後までミステリアスさも保ちつつ物語をひっぱっていく。
確かに今生きる私たちの共感が詰まっていた。
ネタバレ
科学的マインドを持ったナースは失った子供へのロスを抱え、自分の学の犠牲になって餓死した家族をもつ記者は罪滅ぼしをどこかで願い、兄による性暴力と信仰と家族の狭間で頑なに食べない少女はそれでも兄を救いたいと願い、聖人を生み出したいが命の責任もとりたくない権力者の男たちはナースの訴えをあえて無視する。信仰深い時代を描写しつつ、現代にもある理不尽さをしっかり絡めていて、最初と最後の虚実が交わる演出も良かった。
