ぶみ

高速道路家族のぶみのレビュー・感想・評価

高速道路家族(2022年製作の映画)
3.5
幸せにしたい。ただそれだけだった。

イ・サンムン監督、脚本、チョン・イル、ラ・ミラン等の共演による韓国製作のドラマ。
高速道路のサービスエリアを転々として生活する家族と、家族にお金を貸した中古家具店経営者等の姿を描く。
予告編を見た時から観たいなと思っていた本作品が、ようやく愛知県でも上映開始となったため、早速劇場へ行ったところ、入場特典のホログラムカードもゲット。
主人公となるホームレス一家の父親ギウをイル、一家とサービスエリアで偶然出逢う経営者ヨンソンをミランが演じているほか、ギウの妻としてキム・スルギ、ヨンソンの夫としてペク・ヒョンジンが登場。
物語は、サービスエリアにテントを張り、財布を落としたフリをして、利用者からお金を借りて食い繋ぐ家族の父親ギウが逮捕勾留されたことから、残された妻と二人の子どもが、一家を通報した経営者宅に引き取られ、奇妙な家族生活を送ることとなる様が描かれるのだが、サービスエリアでのホームレス生活というのは、今までありそうでなかった設定であり、それだけで掴みはOK。
ギウが利用者に交渉する額は必ず2万ウォンで、これは日本円に換算すると約2千円であり、貸してもそれほど痛手ではなく、後日返ってこなくても、まあ許せる範囲かなという絶妙な金額設定。
後半は一転、ギウから中古家具店経営者ヨンソン視点が中心となり、そこに警察署から脱走したギウが迫り来る展開となることから、根底に横たわる貧困問題や格差社会に加え、サスペンス色も強くなってくることに。
ただ、ギウ然り、ヨンソン然り、ほかの登場人物も含め、何等かの過去を抱えているのだが、その描写が全体的に弱く、何故皆このような状況に陥っているのかが、よくわからなかったのが正直なところ。
題材はタイムリーであり、設定も新鮮なので、もう少し深掘りされると傑作となった可能性があったと感じるとともに、日本版なら主人公夫妻は田中圭、井上真央あたりかなと思いながら観ていた一作。

何が起こるか分からないのが人生だ。
ぶみ

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