散歩

梟ーフクロウーの散歩のレビュー・感想・評価

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)
4.1
宣伝の仕方からシチュエーションサスペンスみたいなものを想像していたんですが、観てみると結構本格的な時代劇であり本格的な陰謀劇だったので「あれ?想像してたんと違う」ってなってしまって、序盤のコミカルな感じとなかなか殺人事件が起きない展開にちょっと「まだかなぁ」って思ったりもしたんですが(楽しかったから良いんですが)、物語が進むごとに「見える/見えない」に違う意味が付与されていって最終的にそれが「やるか/やらないか」って要素にも繋がっていって胸が熱くなりました。また、事件が起こってからは「え、そうだったの!?」「お前、そうだったのか・・・!」って展開が怒涛のように押し寄せてきて、話が何転して心の中で何回「え~!?」って叫んだことか。実際にあった歴史上の出来事を本当に上手くエンタメ的に脚色したなって。(主人公にとっての)敵側に間抜けなヤツがいなかったり、観客として殺人現場をすでに目撃していたはずなのに何が真実で誰が味方なのかが全然分からなかったりして、最後まで緊張感が途切れず韓国映画らしい胸糞なところもあったりでとても面白かったです。日が昇る光景にこんなに絶望感を感じたのは、ホント鬼滅以来だったかなぁ(めっちゃ最近)。あと個人的にはあんまり見ない感じでユ・ヘジンが出ていたのも好きでした。
暗闇の利点や優位をもっと見たかったかもって個人的にはちょっと物足りない部分もありました(あと結構トントン拍子に進むところもあったり)。でもラストで盲目の男から見つめ返されるカットがねぇ、エンタメ的には権力者に対して「お前たちは何を見てるんだ!」って怒りを表明しているようにも見えて気持ちの良いものがあるんですが、同時に観客に対しても「ちゃんと見てますか?」って問い掛けているようにも見えて社会ドラマとしては身の引き締まる思いのするところもあって、あれは素晴らしいラストだったなって思いましたね。
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