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梟ーフクロウーのmofaのレビュー・感想・評価

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)
4.6
念願のジュンヨル様主演の、
この作品をミニシアターで観てきました!!
高評価の嵐の通り、
本当に素晴らしい作品でした。
ジュンヨル様は勿論ですが、
脚本や、映像まで、
秀逸な人材の中で、練られた作品なのだという印象を受けました。

主人公の性質上、
暗いシーンが多いんですけど、
これほど、薄暗いのに、
全然、眠たくならないのって、
凄い事だと思います。
 何よりもそれが、
この作品がいかに優れているかを
表していると思うんですね。
 
そこそこ面白い作品でも、
これほど、トーンの低い場面が続くと、
眠気がやってくると思います。
 
それが、この作品においては、
そういうシーンが足を引っ張らない作りになっているんですよね。

役者陣の演技が、暗闇なんて物ともせず、
観客の視線を釘付けにするし、
ポイントとなる所は、青や白など、
しっかり輪郭の分かるように
映像が工夫されている点が
大きいのかなっと思いました。
 更には、主人公が盲目という点から、
音にも注意を払われており、
それらの音に、観客が刺激される事は、
主人公の状況を共有しているような錯覚を引き起こし、
眠気なんて吹っ飛ぶような緊張感やスリルを、常時、提供してくれるワケなんですよね。

 いや、本当に凄い作りに
なってると思いますね。
こういう作品が作れるんだと。
 ちょっと、ゾクゾクしますよね。

そして、ジュンヨル様の演技ですよね。
 ちょっと、これが凄いんですよね。
ただの盲目ではない・・・・
 その二重三重の演技を、
見事に演じてるっていうのが、
もう素晴らしいとしかいえないし、
やっぱり、凄い俳優さんだな・・・
と思った次第です。

そして、ユ・ヘジン様も
素晴らしかったです。
今まで観てきた役柄とは、
全然違っていて・・・・
存在感抜群でした。

【以下、ネタバレです・・・・】




ジュンヨル様、凄いよね・・・・
盲目の演技は元よりも、その上をいく演技を見事にやってのけたように
思うんですよね。
 目が見えていない時は、
闇の中で、音に敏感な様
闇の中で、ぼやけた視界の中で、
見ようとする意志、
見えている中で、見えないように装う様、
光に抵抗しようとする強い意志と、絶望。
 もう、それらが本当に、
見事だったと思います。

 こういう役を、受けようと思ったジュンヨル様の挑戦する姿勢も、
本当に、素敵な俳優さんだなって思うのです。

 そして、暗闇なのに、
全然眠たくならないの、
凄いよね(←まだ言う)
 世子に毒針をさしてるのを 
目撃するシーンは、
めちゃくちゃスリリングで、最高でした。
 思わず、背筋伸ばして、姿勢整えたよね。

ユ・ヘジン様もこういう役、
出来ちゃうんだっていう、
ビックリでした。
 とても人間臭くて・・・
それが、惑わせるよね~
暴君の中にも、人情があるというか・・・。
非常に、うまかったと思う。

そして、最後のシーン。
ギョンスが、「見ました」と
告白する場面は、
とても印象深いです。
ギョンス自身も、自分の保身(弟のため)に口を閉ざしていたけれど、
少しづつ、世子・世孫と接するウチに、考え方を変えられていくんですよね。
 最後まで迷いながらも、「見ました」と告発する場面は、
様々な事から目を
背けようとする私たちへの、
強いメッセージのように感じました。
 この時のジュンヨル様の演技も
素晴らしくてですね~
単純に勇気出しました・・
って感じじゃなくってね。
絞り出したような勇気だったり、
抱えるだろう後悔であったり、
決して前向きな感情だけではない演技が、
余計に、胸にくるんですよね。
 自分の中に眠っていた、勇気を出した時の、あの頃の自分を、
掘り返してくれるような。
まさに、共感する気持ちから、
勇気を出す事の意味を、
考えさせられてしまうんですよね。
 

では、何故☆満点じゃないのか・・・・
って言う所なんですが。

ホント、私の好みの問題なんですけどね。

前半、盲目だと思っていたから、
ジュンヨル様のちょっとした視線や、行動に「ん?」と違和感があるんですよね。
(いい匙加減での違和感ね)
弟に手紙を書いていたりして・・・・
  そこから、タイトル「梟」の意味が分かるネタ晴らしまでを、
もう少し楽しみたかったかな・・という気持ちはある。
 もう少し、引き伸ばして、
「おおお~なるほど!!」という、
答え合わせのようなネタばらしが、エンタメ的には良かったかな~と思った。
 ジュンヨル様の演技がうまいからこそ、
ちょっと、
バレるのがサラリ・・・とし過ぎたのが、勿体なかったかな~って。

そして、
 世子の奥さんが、王に、「あいつが殺したんですわ~」と告発に行って、
王が黒幕だと分かる所で、
ギョンスもその場にいるのに、
スルーされてるのが、
腑に落ちないというか・・・
耳は聴こえるワケだから、その真実を知られたから抹殺・・・とかに
ならないワケ??と思ったりね・・・・
 そして、最後も、いくらなんでも、
また王の近くまでいけるんか???という不思議な感じが(笑)
  最後も、結局、
ヒョンイクと同じ手を使って、
王を殺すのは・・・・う~ん・・・・。
天才鍼灸師として、魂を売ってまで、
もう弱体化してる王を殺したとて、
何の爽快感もないよな~と。

それも含めて・・・

これは史実だから仕方ない!!

それを承知で言ってしまうと、

後味スッキリ!!とはいかないよね。

あんなに良い人の世子は殺され、
嫁もその家族も殺され、
世孫も島流し・・・・

放っておいても死にそうな王を、
魂売って毒針で殺した所で、
何のタシにもならんのです!
 悪いヤツ一網打尽!!
悪は全部成敗!!

・・・・を期待しただけに、
最後は後味悪い感じが残りました。

とはいえ、史実ありきだし!
逆をいえば、かなり細部まで史実に
沿っているようなので、
それを巻き込みながら、
これほどの脚本を仕上げているのか・・・
凄い!!!と思うんです。

でも、それでも、やっぱり、 
何だかスッキリしないわ~

なので、
個人的な意見としては、
ギョンスは、生き延びて、
ひっそりと弟と鍼灸師として生きている・・・という
描き方で良かったんじゃないかな~と思うんだよね。
 世子妻の死、世孫の島流し、王の行く末は
文字のみの説明にとどめてね・・・
 
鍼灸師としての魂を売ってまでして中途半端な復讐を描くよりは、
最後は、結果として史実のみとした方が、
そこでギョンスの物語は、完結したんじゃないかな??
と思いました。

 ま、そんな不満は些細な事でして。
(些細な事と言いながら、
魂売ってまで・・・・で何回も言ってるな・笑)

とにもかくにも、薄暗シーンの連続でも眠たくならない秀作を、
是非、劇場で!!


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