おりひめ

梟ーフクロウーのおりひめのネタバレレビュー・内容・結末

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

物語 10点
配役 10点
演出 10点
映像 10点
音楽 10点
---合計50点(満点)---

映画友達の主治医オススメの作品を終映ギリギリで鑑賞。凄く面白かった!!

盲目ながらも病の弟の為に懸命に生きる主人公・ギョンスにはある秘密がある。序盤はその秘密を匂わせつつ少しコメディタッチで進むのだが、その秘密を時の世子に暴かれ、しかし彼によって世界が広がる展開にワクワクする。だが物事上手くいかず、あらすじ(歴史)通りに世子が暗殺され、その現場をギョンスが「見て」しまったことで怒涛のサスペンススリラーが始まる。
歴史は変えらず、絶対的な権力の前に平民かつ昼盲のギョンスはあまりにも無力だ。彼の立場を思えば仕方ないものの、助けを求めた世子嬪は気の毒にも投獄され、のちに賜死する。無実の人々が苦しむ展開は辛く、ギョンスについてもギリギリまで最悪の結末を予感させるが、結果的に彼は処刑を免れる。この展開をご都合主義にせず、彼の告発を絡めて助命し、まさに歴史をなぞりつつ彼が恩人の仇を討つ結末に繋げたのが上手かった。見えない世界を変えることは出来ずとも、見える世界を必死に見て、一矢報いたギョンスに胸がスッとした。

韓国の俳優さんを全く知らないので適役かどうかの判断基準は邦画より曖昧になってしまうが、どの俳優さんも顔立ちや纏う雰囲気で役柄の属性を見事に表現していた。特にギョンス役のリュ・ジュンヨルさんの「見えない」演技と「実は見える」演技は、邦画で観たことのあるどの役者さんの盲目の演技より上手かった。
日常の風景には当時の朝鮮王朝の雰囲気が存分に感じられ、物語後半の緊迫した、恐ろしいとすら感じる展開を表現する映像と音楽の迫力も素晴らしかった。

文句無しの傑作。個人的に今年No.1候補です!!
おりひめ

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