弟の病気の療養費を稼ぐために宮廷で働く盲目の鍼師の主人公が、王族をめぐる死の陰謀に巻き込まれるサスペンススリラー。
盲目ではありつつある秘密を抱える主人公ギョンス。
その秘密を知った王の子ソヒョン世子と親密になるが、彼が体調不良を訴えた後急死。その治療の場に居合わせたことで、陰謀に巻き込まれることに…
ポスタービジュアルはホラーっぽいけれど、史実に新解釈を加えたミステリーでめちゃめちゃ面白かった！
2023年の韓国の映画賞最多受賞作品ということで、韓国のヒット作品はやはりハズレなし。盛りすぎなほどの展開も見どころたくさんで満足度高い。約2時間の作品とは思えないほどの濃密さ。
韓国の歴史には全く詳しくないけれど、知らなくても楽しめた。（知っているとより楽しめるのかもしれない。）
キャスティングでは、私がこれまで観た中ではコメディや庶民派な役が多かったユ・ヘジンが、権力欲に取り憑かれて身内すら切り捨てようとする傲慢な王を演じているのが良かった。
歴史ミステリーということでエンタメ性が高いのに、同時に、不正や悪について「見る」こと、「見なかったふりをする」こと、「声をあげる」こと、「口を閉ざす」ことの是非も描いていて社会風刺劇としても考えさせられた。
人格者のソヒョン世子が理不尽に命を奪われ、彼に味方する者や真相を知る者が葬られる展開には涙したよ…！
見ないふりをすることが生存の手段でもある主人公ギョンスの立ち位置にも、共感できる部分はありつつ考えさせられた。
韓国映画、歴史ものに関してはこれまであんまり観てこなかったけれど、今作がとても良かったからもっと観たくなった。
食わず嫌いせず、いろんな作品を観てみようと思う。
