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猿の惑星/キングダムのyassoonのレビュー・感想・評価

猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)
3.6
人間の独善的な側面が強く出ていて、エイプと人間が共闘、みたいなお決まりの話だけにならなかったところは良かった。ノアが「エイプはエイプを殺さない」という本家シーザーのルールを守ろうと思ったら、人間が人間を殺すのを見て『えー、お前達もそんな感じ?』とショックを受けるノア達の表情が味わい深い。そして読める結末とはいえ、プロキシマスとの対決の大団円にはテンションが上がった。

が!疑問点が続々と出てきてあまり作品に集中できなかったのが本音。

まず、シーザー死後から何世紀も経ってる割には、喋れない人間と当時の技術を守ってる人間に二分されてるのが違和感あった。ウィルスに侵された側とそこから逃れられた(とか抗体持ちとか)側で違うってこと?その範囲とか仕組みがいまいち理解できず、最後モヤモヤした。人間狩りのシーンでチャールトン・ヘストン版猿の惑星のオマージュ演出がどうしてもやりたかったの?

エイプ達の技術もあれからたいして進んでない。武器、まだビリビリだけ?人間の技術もあの場所にだけあるわけじゃないから、軍団あるのにもっと探しに行けば…って思ったり。プロキシマスはあれだけ大きな王国を統括してるのに、兵士の数が少な過ぎるとか、イーグル族とは凄く近くに住んでるのに往来がなかったのかとか。あの場所だけを海水で水浸しにしたらプロキシマス王国は滅亡なの?

ノヴァに全く感情移入できなかったのも大きい。何がしたい人なのか最後まで分からないのはストーリー展開上、仕方ないとはいえ。あれから何世紀も経ってる割にこの人だけ服装が腰蓑みたいなのじゃないよなぁ…とは思ってたけど。最後に銃握ってたの、もうサイコでしょ。エイプは危険だから頭のいいノアだけは芽を摘んでおきたい的な?どうしても再度覇権を握りたい人間のエゴが強すぎる。ここは「みんな仲良く共存しよう」が極めて難しくなった現代の写し鏡でもある、と読めば面白いけど。今後キーパーソンになるのかなぁ。観る人に「あなたはエイプ共存派?エイプ排除派?」と選択を迫るようなラストならもっと面白くなってたのかも。

そしてトレヴェイサンは…何だったの彼。

…という風に、良かったところを忘れるくらい諸々がもう気になって気になって。前の3作品は疑問点そこまででもなかったのにね。もちろんヴィジュアルのエイプ表現は向上してるけど、ストーリーや設定がこの雑なレベルでは、今後このシリーズは配信で観れば充分かな…と思ってしまった。
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