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猿の惑星/キングダムのsymaxのレビュー・感想・評価

猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)
3.6
"なんて素晴らしい日だ!"

人類との共存を模索し続けた"最初の長老"シーザーから数世代が過ぎた…

人間はもはやこの惑星の支配者ではない…進化は猿を選んだのだ…

鷲を操るイーグル族の一員ノア…平和な村を突如として襲う一団は声高に叫ぶ…"シーザー"と…

全滅した村に一人茫然と佇むノアの前に現れた人間…村を襲った猿たちが狙っていたのは、この人間だったのだ…

村の仲間たちを救う為に猿たちを追うノア…そしてノアの後を追う人間…たどり着いたのは…猿の暴君であるプロキシマス・シーザーが支配する王国…

リブート三部作の直線上の続きとも言って良い本作…案外、拾い物の一本なのかも?

マット・リーヴス監督作程のクオリティはありませんが、その後の世界観をしっかり構築しており、見応えがあります。

何よりまた一段と進歩した技術は、猿たち一体一体の違いを個性として描く事が出来るようになっていて、なんの違和感もない画柄となっています…凄いわ…

そもそも、オリジナルの"猿の惑星"は、ピエール・プールの人間社会への辛辣な風刺となっていた小説が元となったもはや伝説の作品ですが、本作にはそんなオリジナルをリスペクトしたシーンが象徴的に描かれています。

禁断の土地への行程では、オリジナルの音楽がフューチャーされ、オリジナルシリーズっぽい案山子的な、十字架のような脅しのオブジェも見て取れます。

本作では、シーザーが築き上げた理念が長い時間を掛けて独自の解釈で悪用され、まるで宗教戦争のような一面を見せていきます。

更には、人種差別的な一面もあり、現在の世界観の縮図を猿で見せられているかのようです…

本作のポイントとなるのは、人間エヴァ=メイ…

但し、猿であるノアと人間との共存という点では、何とも言えない緊張感がある事が非常に興味深い…決してお互いに信用しきれない部分を残しているのは、この後続くであろうシリーズの肝となることは間違いない…

今後の展開によっては、大化けする可能性もあり、偉大なる新シリーズの序章となる作品なのでは?と密かに期待するのでありました…
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