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カラヴァッジオのYAEPINのレビュー・感想・評価

カラヴァッジオ(1986年製作の映画)
3.7
カラヴァッジョの作品は、ドラマチックな構図を浮かび上がらせる漆黒の闇が特徴的だと思っていたが、本作では血のような薄暗い赤が印象的だった。

死に瀕したカラヴァッジョが、これまでの人生を振り返る形でストーリーは進む。
とはいえ、画家として大成するまでのエピソードを描くことは目的とされておらず、カラヴァッジョ自身の、またそれを取り巻く激情が断片的に描かれている。
彼の生涯について史実として分かっていること自体が断片的であるため、適切な捉え方なのかもしれない。
掴みどころがすごくある訳では無いが、本作はデレク・ジャーマン監督作の中ではかなり分かりやすい部類に入るということで驚いた。

カラヴァッジョの作品はどれも、当時で言えばかなりアグレッシブな構図をもつため、それらを実際にモデルがポーズしているシーンは面白かった。

自動車、電球、タキシードなど、現代の物品がところどころに配置される手法も興味深い。「激情」を描く土台として倒錯的な世界観を構築しようとしたのだろうか。

少年時代のカラヴァッジョを演じていた美少年、なんか見たことあると思ったらデクスター・フレッチャーでこれまた驚いた。
そしてティルダ・スウィントンは土まみれになっていても豪奢な服に身を包んでいても、根源的な美を表象している。
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