ドント

ザ・カー ロード・トゥ・リベンジのドントのレビュー・感想・評価

-
 2019年。治安の悪い近未来、犯罪組織のデータを入手した傲慢な検事が殺害され、その魂が愛車へと憑依、悪党を轢き殺しながら元恋人にもつきまとうので結局元恋人と刑事以外は悪い奴しかいねぇバイトレント・ムービー。
 謎の車がブンブン走ってどんどん車離れの動きをブチかましていく『ザ・カー』(77年)のリメイクないし続編。リメイクと考えるとどうにも今一つ。リメイクと考えなければ、やっぱり今一つ。ヒャッハー!な犯罪組織の大暴れとわるい車の轢殺フェスがどうにも噛み合わずどうしてヒャッハーと『ザ・カー』(異性に執着する点は『クリスティーン』要素もある)を混ぜようとしたのかわからない。というかうまく混ざってないし。結局車もワルだしさ……
 ヒャッハー!な皆さんが全体的に安く、『マッドマックス2』の作り込みを3段階下げたような方々でどうにもこう、治安の悪さよりも貧乏臭さが前面に出てきてしまう。全体の雰囲気は悪くない気がするのだが、なんだかちんまりしてるんだよな……広がりがない……
 バカなレースカーみたいなデザインの車や、採石場やハイウェイでの追いかけっこなどは厚みがほどほどに出ていていいんですけどね。あとモヒカンヘソ出し強女とか、オジー・オズボーンに似た中指ニードルおじさんとか、光る者はいるんだけど……。
 短所ばかりではションボリしちゃうのでよかったところを。グロがかなり頑張っており、圧殺とか轢殺に迫力がある。直線道路での爆轢と、『ザ・カー』にオマージュを捧げるローリングソバット、再起動時の無差別ヒット&ランぶりはオオッ! と盛り上がった。
 ただやはり、リメイクとか続編とか言う前にそもそも軸みたいなのがブレているので、おいしさが足りないのだ。細部にグッと来ても、元の味がしっかりしていないと楽しみきれないわけで。さらにあの我が偏愛、超おもしろい『ザ・カー』の親類となればムッ、ムムッ……と点も辛くなろうというもの。そんなわけで、そのくらいの映画であった。みんな! 『ザ・カー』観てね!
ドント

ドント