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はこぶねのpersimmon1aのレビュー・感想・評価

はこぶね(2022年製作の映画)
4.3
車のナンバーは湘南で、走ってる路線バスはバリアフリーとかない旧型っぽい伊豆箱根バスの海辺町。どの辺設定なのかなぁと思ってたら真鶴でした。この既成事実がまさに真鶴を暗示してるような。一見キラキラ、リアルはどローカルみたいな。都心から近いし、ハードルの低い移住先のイメージだったけど、そういう人らは別として、地元の暮らしはあんな感じなんだろうか。

降りたことはないけど、東海道線で過ぎることは数えきれないくらいあって、国内外問わず景色を眺めながら自分がここに住んだらどんな暮らしになるんだろうと空想するのが常なんだけど、真鶴ら辺でそれをしたことがなかった。

十年ぶりくらいに「元気?」と声かけてきた同級生に「どうだろうなぁ~。まぁ元気ですよ」と返す西村。「How are you?」と聞かれたら「Fine, thank you」と答えろと教わって、「元気じゃないときはどうすればいいですか?嘘になっちゃうと思うんですが」って職員室に質問に行ったら、「とにかくFine, thank youというのが礼儀だ」と言われた経験を持つ自分としては、西村に惹かれずにはいられない。役者さんの演技もすごくよかった。余談だけど、今も自分は基本Fineとは答えてない。なぜなら実際Fineでもないから。

内田春菊扮する叔母さんも別に悪い人じゃないんだよね、いるいるって感じだし、漁協のバイトの高卒の子もはいはいって感じで、西村を含め超善人ではない、地の果てまでリアルな登場人物たち。そんな人たちでも、いつかそれぞれのノアの箱舟に乗れるような世の中になったらいいなってことなのかな、「はこぶね」とは。

たまたまサントラ鑑賞会付の上映で、監督さんや役者さんたちも来てびっくり。西村役の人と話してみたかったけど、勇気出なかった。監督と音楽担当の方が渋谷の映画学校の同期という若い方らで、
映画学校出た方ってこんな感じの作品撮るんだーと世間勉強にもなった。

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