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石があるのmingoのレビュー・感想・評価

石がある(2022年製作の映画)
3.9
この映画は関わった人を豊かにする映画だ。「豊かさ」の表現については前作同様太田が持つ人間性や周りの人への気遣いか、人間レベルの高さをまざまざと感じさせる。そして各プロたちの仕事がやはり凄い、編集大川景子と黄永昌の音仕事が完璧な仕事をしている…王舟の場面で使い分けることが出来る楽曲も良い、終始「綱渡り」のような映画作品だが、五感で微細な音を聴き分ける能力のある人なら、絶対に幸福にさせる映画である。

明日は1人で「石がある」みたいな旅をする予定。





2022.11.3トークメモ

3年前に旅行した個人的な体験、友人の父親が別荘を持っててペンションに付いて山だったり川だったりただの自然がある場所。早々にやることを無くして川を歩くことをしていた、気づいたら石を拾っていてみんなつられるように石を拾いだした。気づいたら真っ暗になっていた。1人が石を無くし、翌朝一人で歩いて探しに行った。朝日に照らされて石がめちゃくちゃ有った。見つけたところで意味も無いんだけど。個人的な体験を確かめて見つめ直すことができないか。映画の表現を使って「石」「川」から脚本がスタートした。強制的にこれ以上行けない、ていうモチーフが良い。水切りの生産性の無さ。目撃されて嬉しくなってしまう。論理より出来事に対してリアクションする役が小川あん。目の前のこと加納くんに対して誠実。抜け道のシーンから先がアドリブ。「砂山崩し」は前日には無くてたまたま当日あった、川によって対応せざるを得なかった。アクションは考えざるを得なかった。カメラは撮影深谷さんのフィックスで2人の背中を追いかけていく一回きり。川によって「カメラ」も「芝居」も変えざるを得ない。日中は8.9日間かけて、夜以降は3.4日。音楽王舟さん、パターンのあるリズム。強度を作るのではなくフレーム外の世界もあるんだと実感させるように。整音は黄さん、基本お任せしていたがヘリコプターの音も付け加えてくれた。足音はほぼすべて付け足してくれている。スタンダードサイズにした意図、16:9だと横が広いのでツーショットになってしまう。4:3だと狭いからどちらかを選択しなきゃいけない、カメラが行ったり戻ったり。長回しの中で「選ぶ」瞬間があるから選択した。「手と石の組み合わせ」がしっくりくる。ニコラスローグの「美しい冒険旅行」みたいだったが参考にした映画はあるか?特に無い、カメラという装置を使うことに労力を。圧倒的な無意味さを支えてくれたのは岸政彦(社会学者)の本。
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