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あしたの少女のりのネタバレレビュー・内容・結末

あしたの少女(2022年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

オンライン試写会で鑑賞。
ブラック企業のコールセンターで実習をする女子高生・ソヒを主人公にした韓国映画。
見終わった後、暗い気持ちでいっぱいになった。パワハラの被害経験やブラック企業でのトラウマがある人は見ない方がいい。

前半では、ソヒがコールセンターで実習を始め、自殺するまでを描く。コールセンターでは通信系の契約解除を求める顧客に対して、引き留めると成果報酬があるという。厳しいノルマが科されるが、実際には成果報酬は支払われない。給料体系や仕事のやり方についてチームリーダと口論になり、報復として懲戒処分が下されたソヒは貯水池で自殺してしまう。

後半は、女性刑事がソヒの自殺を明らかにしようと捜査する。刑事は職場や学校への調査から違和感を覚え、それぞれに責任を追及するものの、責任逃れをされてしまう。そればかりか、警察内でもこれ以上深追いしないように言われる。正義感から捜査を続ける刑事だが、実際にはここまで捜査されることの方が少ないだろう。

日本の労働環境においても、会社の力や警察の捜査不十分によって明るみになっていない、類似した事件は多くあるだろう。各々仕事を辞められない事情はあるが、死に追いやられる前にまずは逃げなくてはならない。私は自分の経験と重ねて辛い気持ちになったが、そうなるほどのリアリティがあり、見る価値のある映画だと思う。
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